どのような雇用形態であれ、企業が交通費を支払うかどうかは労働者にとって大きな問題です。派遣の場合、派遣会社は労働者に交通費を支払うものなのでしょうか。
派遣の求人サイトをご覧になったことがあればご存知でしょうが、派遣で働く場合、交通費の支給は案件によって異なります。
つまり、派遣会社が交通費を支払っている労働者もいれば、そうでない者もいることになります。このままでは後者の派遣労働者が圧倒的に損をしていることになりますよね。
ですが、実際のところそうでもないのです。
「一体どういうこと?」
そう思う人もいるでしょう。そこで今回は、派遣の交通費について特集しました。
きっと、あなたが今まで知らなかった驚きの事実もありますよ。ぜひ、最後までご一読ください。
派遣は交通費が出ない?
結論から言うと、派遣の仕事は交通費が出ないものも多いです。
労働者にとって、働くうえで派遣会社が交通費を支払うかどうかは、とても大きな問題だとさきほどお伝えしましたね。それは派遣会社も承知の上でしょう。
では一体なぜ、派遣会社は労働者に交通費を支給しないのでしょうか。それは交通費を時給に含めることによって、より時給を高くしているからなのです。
たしかに時給が交通費分高くなっているのであれば、交通費を支払っていることと同じです。労働者にとって損になる話ではありません。
もし自宅から近く交通費が安く済む職場であれば、逆に得だと考えることもできるわけです。
派遣会社はより多くの人材を確保したいと考えています。時給を高く設定した方が人材を集めやすいと判断した場合、このように交通費支給を無くしてまで時給を上げて人材を募る場合があるのです。
交通費の支払い義務はない
そもそも、企業は労働者に対して交通費を支払う義務があるのでしょうか。実は、交通費というのは福利厚生のひとつです。そのため企業が労働者に対して交通費を支払う義務は一切ないわけです。
では多くの企業が労働者に対して交通費を支払う理由はなんでしょうか。それはやはり、福利厚生で他社との差別化を図りたいというのが本来の目的でしょう。
しかし多くの企業が労働者に交通費を支払うため、当たり前化していってしまったというのが現状です。
いまどき交通費を支払ってくれない会社で働きたいと思う人は少ないはずです。そのため企業は、義務でなくとも交通費を支払うことをやめられないのです。
交通費が出る場合はどんな時?
先ほどの話と逆になりますが、派遣会社が交通費を支払う仕事もあります。
人によっては、交通費ありの仕事の方が得していると感じる場合もありますよね。交通費の支払いはあくまで派遣会社の判断になりますから、交通費を出すケースも当然存在します。
では交通費を支払う派遣会社は、どんな理由でそのようにしているのでしょうか。
求人サイトでの募集要項を思い出してください。時給は高いが交通費は出ない、時給は少し下がるが交通費は出る、あなたならどちらを選びますか?
当然迷いますよね?
企業によっては交通費を支払うと明記した方が、人材が集まると考える場合があります。この場合、企業は交通費を支払う形で募集をかけます。
しかし、そのぶん時給を下げてあるので結局は得するわけではないのです。
結局どっちが得なの?
派遣会社によって時給を支払うかどうかは変わってくる、こうなってくると判断に困りますよね。
時給が高ければ交通費はなく、交通費の支給があればその分時給が低くなっているわけですから。実際、どちらがお得なのでしょう。
それは、一概には言えません。
なぜかというと、交通費は非課税になるからです。時給が高ければそれだけ所得税を支払わなければいけませんから、非課税の交通費を受け取っている方がお得ですよね。
残業を考慮するとまた話が変わってきて、反対に時給が高い方がお得になる可能性が出てきます。なぜなら、残業手当は時給に対して倍率がかかるからです。
絶対にやめておきたいこと
交通費のお話で、ひとつ注意すべきことがあります。
それは、派遣会社に対して交通手段を偽ることで、浮いた交通費を懐に入れてしまうような行動はやめた方がいいということです。
その理由は、派遣会社とのトラブルを避けるためです。
派遣会社から気軽に電車代を受け取りながらも、派遣先へは自転車で通っているなんて人はいませんか?軽い気持ちでやっているのでしょうが、大きなトラブルを引き起こしかねない行動ですので、絶対にやめましょう。
まとめ
派遣と交通費と時給、掘り下げてみると実に奥の深いテーマでした。それぞれに因果関係があり、ただ数字を眺めているだけでは見えてこなかった真実があったのではないでしょうか。
派遣会社から交通費が出なければ損だと一概に言えるわけではなく、交通費が出れば得だというわけでもない。自分の状況に当てはめて、きちんと計算することが大切です。
残業がどのくらいある仕事なのか、交通費の実費はいくらなのか、所得税で損はしないかなどの観点から計算してみて下さい。そうすることで、あなたにとって働きやすい職場が見えてくるはずです。