派遣ではたらく際に、気になるのはやはり給料面のこと。
・『派遣ってどれくらい稼げるものなのか』
・『派遣は正社員より給料がいいって聞いたけど本当か』
そんな疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、派遣業界に長く身を置いていた筆者が口コミ調査や厚生労働省による統計結果などを元に派遣社員の給料について調べてみました。
これから派遣で働きたい思っている方、現在すでに働いている方も、ぜひ参考にしてください。
派遣社員は給料が不安定だと思われがちですが、決してそんなことはありません。
むしろ派遣会社を間にはさんでいるため、サービス残業、退職金・賞与と名を変えた「給与の後払い」といった曖昧なものがなく、労働に対する対価を正当に受け取れる環境が整っているのです。
正社員は確かに「安定」していますが、正社員だからこそやらなければならない面倒なことも多いのは事実です。
一方で派遣社員は、そういった正社員ならではのしがらみがなく、労働に見合った給料を高い水準を受け取ることができます。
もちろん派遣ならではのリスク、社会的地位を気にする方にとってはデメリットと感じる部分もありますが、その見栄やプライドを捨てればもっと働き方の選択肢が広がる可能性があります。
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ただし上記の結果は、年齢や地域、業種によっても異なります。
大都市の派遣社員の平均月収は299,904円となります。
地域によっては、派遣社員の収入は意外と高いことがわかります。
時給ベースで考えると、正社員と派遣社員の収入の差はさほど大きくありません。
むしろ、正社員よりも高時給な派遣社員は沢山います。
しかしながら、正社員にはボーナスや各種手当といった時給以外のものもプラス支給されるため、結果的に年収ベースで見ると正社員の方が勝ります。
派遣の給料が正社員よりも高いワケ
「派遣社員は正社員より給料がいい」そんな話を聞いたことはないでしょうか。 あながち間違いではなく、時給換算すると正社員より派遣社員の方が高い給料を貰っているケースはよくあることです。 その理由は主に3つあります。
契約期間はあるが、高いスキルが求められる
企業からの需要が年々増している
正社員より給料を上げやすい環境が整っている
専門性が求められる仕事は特に給与が高い
例えば薬剤師や看護師、保育士、調理師といった専門性を必要とする仕事は、正社員の倍以上の給料になることもしばしばあります。
注意点としては、一度派遣を経験してしまうと、住民税の影響で翌年度から高い納税額を払わなければならないため、正社員に戻ると生活が難しくなるといったデメリットもあることを頭においておきましょう。
正社員の女性は給与を上げるのに時間がかかる
すべてという訳ではないですが、一般的に正社員の基本給は会社が決めた金額からすぐに変わることはほとんどありません。
階段方式に給料が上がる企業もありますが、ほとんどは役職が上がらない限り、基本給は同じです。特に女性社員は出産・育児でブランクが開くためそれがより勝ります。
また、たとえ大手企業に就職出来たとしても、次のポストが空くまでずっと変わらないということもあり、中には約5年間も給料が上がらない方もいます。
そして給料や役職が上がると当然、与えられる仕事の責任も重くなります。責任があるゆえにサービス残業や休日出勤が当たり前ということはざらにあります。
時給換算すると平社員時代の方がよかったといったケースもあるのです。
一般的な派遣の給料|平均年収・月収
では、気になる派遣社員の一般的な平均年収と平均月収についてみてみましょう。 まずは平均年収からです。派遣社員の平均年収はどれくらいなのか
職種や地域によって変動はありますが、だいたい300万円~350万円といわれています。 また、職種等により年収400万円以上という方も全体の10%ほど存在するようで、一般的な正社員かそれ以上の収入を得ている方もいらっしゃいます。 平成30年度労働者派遣事業報告書によると、平成29年度の一般派遣労働者の1日8時間あたりの平均賃金は13,831円とのことです。 これをもとに、年収を算出してみましょう。派遣社員の平均年収
*休日(土・日・祝日、年末休暇):約125日
*労働日数(365日‐125日):240日
1日の平均賃金13,831円 × 労働日数240日 = 331.9万円
一般派遣労働者の平均年収……331.9万円
派遣社員の平均月収はどれくらいなのか
続いて、派遣社員の平均月収を算出してみましょう。 『派遣スタッフ募集時平均時給調査』(株式会社リクルートジョブズ:2020年8月度)によると、関東・東海・関西といった3大都市の平均時給は1,704円だそうです。 これに基づいて月収を算出してみましょう。派遣社員の平均月収
1か月あたりの労働時間(1日8時間×22日)× 1,704円 = 299,904円
一般派遣労働者の平均月収……299,904円
年齢や職種別の派遣の給料|平均年収・月収
次は、年齢や職種ごとの派遣社員の平均年収についてみていきましょう。 まずは年齢別です。【年齢別】派遣社員の平均年収
年齢(歳) | 派遣社員の年収(万円) | 派遣社員の給料(万円) |
平均 | 328 | 27 |
20-24 | 277 | 23 |
25-29 | 308 | 26 |
30-34 | 321 | 27 |
35-39 | 328 | 27 |
40-44 | 323 | 27 |
45-49 | 326 | 27 |
50-54 | 323 | 27 |
55-59 | 331 | 28 |
60-64 | 363 | 30 |
65-69 | 340 | 28 |
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【職種別】派遣社員の平均年収
つづいて職種別に見てみましょう。まずは平均時給からです。 専門職は特に、高い傾向にあります。職種別|平均時給
職種 | 平均時給(円) |
オフィスワーク | 1,512 |
営業・販売・サービス | 1,413 |
IT・技術 | 2,146 |
クリエイティブ | 1,802 |
医療介護・教育 | 1,503 |
全体 | 1,704 |
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そして、上記の時給から算出される職種別の平均年収は次の通りとなります。職種別|平均年収
職種 | 平均年収(万円) |
オフィスワーク | 290.3 |
営業・販売・サービス | 271.2 |
IT・技術 | 412 |
クリエイティブ | 345.9 |
医療介護・教育 | 288.5 |
全体 | 321.7 |
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地域別の派遣の給料|平均年収・月収
地域別にも派遣の給料について見てみましょう。 ここでは、関東・東海・関西と大きく三つのエリアに分けて見ていきたいと思います。
<エリア区分について>
関東: 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県
東海: 愛知県、三重県、岐阜県、静岡県
関西: 大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県
エリア | 平均時給 | 平均年収(万円) |
関東 | 1,815 | 348.4 |
東海 | 1,590 | 305.2 |
関西 | 1,492 | 286.4 |
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給料以外の派遣で働くメリット
派遣社員の給料面についてご紹介させて頂きましたが、人によっては派遣社員の給料が決して悪くないということをご理解された方もいらっしゃるのではないでしょうか。 続いては、派遣社員として働くことのメリット・デメリットをご紹介していきます。 派遣社員という働き方が最適かどうかは人それぞれ異なります。しっかりとご自身の状況を踏まえて、冷静に判断できるようになりましょう。 まずはメリットです。
メリット
理想とする働き方を実現しやすい
未経験OKの仕事もありキャリアチェンジをはかれる
正社員ではチャレンジできないような人気の仕事に就ける
派遣会社からのサポートを受けられる
1. 理想とする働き方を実現しやすい
派遣社員の最も大きなメリットが、自分の実現したいライフスタイル・仕事とのバランスを、数ある案件から選べることです。 派遣社員の業務内容は、派遣会社が派遣先企業と結ぶ契約によってきちんと定められています。 そのため、原則として契約に規定されているもの以外の仕事を強制させられることはありません。ですので、仕事を選ぶ段階でしっかりと条件を確認していれば、ご自分の希望に見合った就業先を見つけることが出来るでしょう。 たとえば「週3日」「残業なし」「自宅近く」といった、正社員や契約社員では難しい条件でも派遣という形態であれば探すことができます。 子育て世代・プライベートを重要視したい方にはとてもいい働き方なのです。2. 未経験OKの仕事もありキャリアチェンジをはかれる
派遣社員のお仕事の中には、未経験でもOKのものがあります。 特に、受付や事務職・オフィスワークといった職種は未経験者を歓迎しています。 過去に販売業や接客業の経験しかなく、将来的なことを考え職種を転身したいと考えてる方にとっても、派遣社員という働き方は新しい一歩を踏み出すチャンスにもなりえます。3. 正社員ではチャレンジできないような人気の仕事に就ける
派遣社員は、原則として派遣先企業から直接選考をされる訳ではありません。 派遣会社から派遣されれば、正社員として入社することが難しいような大企業・有名企業の一員として働ける可能性があるのです。 大手企業、マスコミ、IT、外資系など、人気の高い業界への派遣も沢山あります。 捉え方によっては、派遣社員として経験をした業務が、将来的な夢の実現へと繋がることもあるのです。4. 派遣会社からのサポートを受けられる
派遣会社からスキルアップやキャリア形成、資格取得に関するサポートを受けられます。 ビジネスマナー、PCスキルといった様々な研修が用意されているので、あらゆる職場でも役立てられるようなポータブルスキルを身に付けられます。 ほかにも、資格取得における支援制度を用意している派遣会社もあります。 そしてキャリアに関することだけでなく、ご自分が抱えている悩みや給与に対する不満といった、繊細な問題でも気軽に派遣会社の担当者に相談できます。給料以外の派遣で働くデメリット
では、次に派遣という働き方のデメリットについてみていきましょう。
デメリット
雇用が不安定になる場合もある
責任のあるポジションに就きづらい
1. 雇用が不安定になる場合もある
派遣社員が仕事をできるかどうかは、派遣の契約時に結んだ内容によって決まってきます。 そのため、勤めている派遣先の派遣契約が終了したとたんに仕事自体はなくなります。 もちろん、契約終了後にはなるべく途切れることなく、派遣会社から新たなお仕事を提案してもらえます。 しかしながら、スムーズに次の職場を見つけられるとは限りません。ある一定期間において”雇用されていないリスク”が発生するのです。 一方で、正社員は一度採用されればよほどのことが無い限り、会社を突然やめなければならないようなリスクは低いのです。2. 責任のあるポジションに就きづらい
正社員は年次や個人のスキルにより、年々責任のあるポジションを任せられます。 しかしながら、派遣社員は派遣先企業からすれば他社の社員という認識です。 そのため、重要な仕事や責任のある仕事を任せてもらうような場面は少ないでしょう。 単純作業しか担当させてもらえないような場合もあります。もちろん、それで構わないという方もいるかと思いますので、一概には悪い事ではありません。 しかし、長期間簡単な仕事ばかりを継続させることは自身のスキルアップを臨みずらい結果を生んでしまう可能性があることを念頭におかなければなりません。 将来、ご自分がどのようなビジネスパーソンになりたいのかをしっかり見据えて派遣という働き方を選択しましょう。派遣社員と正社員の年収差は約172万円
国税庁による『平成30年分民間給与実態統計調査結果』を見ると、正社員の平均年収は約504万円、非正規社員は約179万円でした。 この数字で見ると、正社員と非正規社員には大きな差が開いているように感じられます。 しかし、非正規社員にはパートやアルバイトといったフル勤務でない方も含まれるためこの結果は仕方のないことです。 では、正社員と派遣社員の2つを比較してみましょう。 先ほど算出した派遣労働者の平均年収331.9万円を元に算出すると、172万円ほどの差があることがわかります。派遣社員と正社員の年収差
*正社員の平均年収 504万円
*派遣社員の平均年収 331.9万円
504万円 - 331.9万円 = 172万円
派遣社員と正社員の年収差……172万円
派遣社員が給料アップのために出来ること
派遣社員と正社員では年収差があることがわかりました。 派遣社員はたしかにボーナスといったプラスαの支給はありませんが、もちろん給料アップのために出来ることはあります。 以下では派遣社員が給料アップのために出来ることをご紹介します。
スキルや技術力を高める
派遣会社の担当営業に時給UPの交渉
1. スキルや技術力を高める
上の章でもご紹介した通り、専門的なスキル・技術を持っていればより年収の高い職種を選択できます。 具体的にいえば、ExcelなどのOAソフトのスキル、語学力、会計・財務のスキル、プログラミングなどのスキルがあげられます。 >>プログラミングスクールおすすめランキングはこちら もちろん他にも沢山あります。派遣会社でこうしたスキルを学べる講座があれば参加してみるのもよいですし、通う時間がない方はインターネット上でも講座を展開していたりもするので活用してみましょう。 さらに、一通り学び終えたら各種資格試験を受けるとよいでしょう。そうするとスキルを客観的に証明することができます。 そして実際の業務でも少しずつ活用してみましょう。2. 派遣会社の担当営業に時給UPの交渉
派遣会社の担当営業に直接交渉してみます。 担当する業務の幅が広がった、業務のスピードが上がり効率化がはかれている、スキルアップしたなど具体的な理由があれば、それに見合う給料をもらえるかの相談をしてみましょう。 伝えるタイミングとしては、契約更新時など業務内容の見直しの際がよいでしょう。派遣の給料に関するQ&A
このページでは、取り上げきれなかった派遣社員に関しての細かな疑問を解説していきます。派遣の給料に関するQ&A
Q1. 派遣社員にも有給休暇はあるのでしょうか。
派遣社員でも有給休暇を取得することはできます。 有給休暇とは、正社員・契約社員・派遣社員などの雇用形態に関わらず平等に与えられるものです。 労働基準法にも、以下のように定められています。有給休暇について|労働基準法
使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
派遣社員の場合、派遣会社との雇用契約を締結したのちに、派遣先企業での勤務を開始した日が「雇入れ日」です。言い換えると、派遣先企業で勤務して6ヵ月間が経過し、全労働日の8割以上を出勤していれば、10日間の有給休暇が発生するということです。
Q2. 派遣社員にも残業代は出るのでしょうか。
「みなし残業」や「役職手当」のように、正社員は残業代が基本給に含まれている方も多いです。 きちんと基本給に収まる範囲での残業だったらよいのですが、万が一それを超える残業をしても給料に反映されることはありません。 これは全ての正社員という訳ではなく、職種や会社によってさまざまです。 しかし、実態として泣き寝入りされている方も多くいらっしゃいます。 一方で、派遣社員は時給計算で給料が支払われているので残業代は分単位で請求することが出来ます。 派遣先にもよりますが、だいたい1日5分~15分刻みで計算されています。 労働基準法には、以下のように定められています。残業代について|労働基準法
「1日8時間、週40時間」の所定労働時間を超えて従業員を勤務させた場合は、企業は労働者に対して時間外割増賃金を支払う。
割増賃金は、最低で通常時給の125%とする。